ここ一年の美容業界での大きな変化はと言うと、圧倒的にブリーチを求めるお客様が増えてきているという事です。今のブリーチの流行が来る前は、重めで髪色も暗めに、そして一番は髪の毛を痛ませないという事でした。
その前、2000年前半に関してはやはりハイライトやブリーチなどを多用したスタイルがとても多かったのもまた事実です。
ファッションの世界でもそうですが、流行は必ず繰り返します。かっこいい言葉だとリバイバルとでもいうんですかね。
2000年代にも流行したブリーチを使ったデザインですが、その時代に無く、最近よく使われる技法こそがバレイヤージュです。
バレイヤージュがなぜ選ばれるのか
バレイヤージュという言葉が日本に浸透し始めたのはここ2~3年かなと思います。詳しい日付は分かりませんが、お客様からこのワードを聞くようになったのは比較的最近かなと思います。
しかしこれは日本に限った話であって、10年前にはヨーロッパで既に当たり前のメニューになっていました。僕はこれまでの美容師キャリアを東京と海外で半々で過ごしてきましたが、ヨーロッパでのバレイヤージュはその当時でもはや当たり前になっていました。
そんな市民権を得ていたバレイヤージュはなぜ選ばれるのでしょうか?
より立体感を求める為
ヨーロピアンの髪の毛はアジア人の髪に比べてかなり明るい印象があると思います。
しかしながらほとんどのブロンドの女性は髪の毛を定期的にブリーチで染めています。染める際は全体を均一に塗布するのではなく、ハイライトで細かい筋を重ねていきます。
こうすることで細かい立体感を得ることができ、野暮ったい感じが無くなってくれるのです。
しかしながら人間は常に求める生物です。
ハイライトでの立体感に満足できなくなった女性たちはさらなる立体感を求めます。
この結果、ヨーロッパを始めとし、世界中にバレイヤージュという技法が広がっていきました。
バレイヤージュはメンテナンスが楽ちん
そしてもうひとつバレイヤージュが支持される理由があります。
繰り返し、定期的にメンテナンスをしなくてもいいという事。
カラーにおけるメンテナンスはとても面倒くさいもので、根元のリタッチを月に1回や、2カ月に1回行わなくてはいけませんでした。
従来のカラーにおいて、色味が主役だとしたらこのバレイヤージュという技法はブリーチによるデザインが主役です。色味は脇役だと考えてもらって構いません。
根元の明るさを活かし、そこから自然と明るくなるようなグラデーションともハイライトとも言えないスタイルが特徴的で、しっかりとしたデザインさえ入っていればお家でのカラーシャンプーなどで維持ができます。
ブリーチの部分が伸びてきたら4~6カ月おきにまたバレイヤージュを根元、中間に馴染ませれば大丈夫なのでダメージの観点から見ても悪くはないです。
では実際にバレイヤージュのデザインを見てみる
言葉で書くだけだと伝わりずらいので、実際に施術した例を挙げてみていきましょう。
1年以上前にハイライトをしてから伸ばしっぱなし
このモデルさんは大学1年生の女性で、高校の時に一度ハイライトを全頭してみたものの、その後何もメンテナンスをしていません。
毛先の方に明るい髪の毛があるのは分かりますが根元の方に関してはほぼほぼ黒に近い明るさです。
今回のモデルさんの希望としては地毛の明るさを活かしつつ、立体感がありメンテナンスがしやすい髪型。欲を言えばアッシュにしたい。ということでした。
しかしながら髪の毛はほとんどが地毛の為、一回のデザインで色味を理想に近づけるのは不可能です。ですので今回は比較的一回でも入りやすい色味のベージュを選定し、デザインを入れていくことをメインとしてやっていきます。
ブリーチでデザインを入れていく
スタイルや髪質によってバレイヤージュの技法を変えますが、今回は毛量が多く、馴染みやすいスタイルが良い為にバックコーミングバレイヤージュをつかっていきます。
この利点はブリーチ部分、特に地毛から毛先に向けての馴染みが格段に良くなるという事。
適切にデザインを入れた後に程よく時間を置いた後はこんな感じ。毛先の方は以前にブリーチをしているので、また少し明るくなりました。
コームでとかすとこんな感じ。
地毛の明るさは活かしたまま、ブリーチによって綺麗にデザインが入っているのが分かるかなと思います。
この後に色味を入れていくのですが、一回のブリーチだけですとシルバーやアッシュ系は難しくなってしまいます。なので今回は黄色みを取りつつ、柔らかく仕上げます。
仕上がりBefore & After
一連の施術が終わり、髪の毛を軽く切って乾かすとこんな感じ。
ブロンドの隙間から暗い髪の毛が見えるのが分かるでしょうか?根元の髪の毛が暗いのが分かるでしょうか?
まとめ
バレイヤージュの利点はメンテナンスの煩わしさから解放されるという事。
そして何もスタイリングをしなくても立体感が綺麗に出てくれるという事。
このモデルさんの場合ですとお家でのカラーシャンプーを続けていただいた後に、3か月後くらいにまたもう一度ブリーチでデザインを入れなおすことでより透明感のあるカラーを得ることができます。
シルバーやアッシュなどは2回は必須になってきます。
今回はバレイヤージュを紹介しましたが、必ずしも他のカラーが劣っているというわけではありません。
ハイライトや通常のオシャレ染めにも利点はありますし、結局のところ自分の理想とするゴールをどこに設定するかによります。
流行っているからといってとりあえずやってみるというのは必ず失敗するので、バレイヤージュやハイライトなどのブリーチを使った施術は必ず美容師さんに相談してからにしましょう。
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